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ピンクリボンと私

遠藤 登喜子
(認定NPO法人乳房健康研究会理事、NPO法人日本乳癌検診精度管理中央機構理事長、独立行政法人国立病院機構東名古屋病院乳腺科診療医長)

私は現在、医師歴43年目、放射線診断医歴39年目の画像診断医です。医師として過ごしてきた時間の半分以上を、乳がんの診断をテーマとしてきましたが、マンモグラフィに関わったことから社会とのかかわりが生じて来ました。マンモグラフィを用いた乳がん検診の開始がそれです。通常の医用画像は病気の方あるいは病気の疑いのある方に撮影されるものですが、マンモグラフィを用いた検診は、健康と思っている方に対して撮影されるものであり、そのメリットが大きくデメリットが小さいものであり、多くの方々が参加することによって社会的なメリットが生じます。しかし、その捉え方では、個人が自身の健康を守るという視点と食い違う部分が生じてきます。私の中では、その両者の違いを融合させるものがピンクリボン運動であったわけです。検診の目標である「乳がんの死亡率減少」を、個人の「乳がんでは死なない」ということに置き換えさせる活動ということです。

具体的な活動としては、ピンクリボン活動の草分けの時代、アメリカでの活動を当時コダック社に勤務していらした鈴木輝子氏に紹介され、日本でも実現しようと考えたところに出発点があります。ピンクリボンウオークを企画していた乳房健康研究会への橋渡しと第1回のウオークの実現は、本当に感動するものでした。その後、全国で実施されたピンクリボンの催しに参加するとともに、名古屋でも無料検診を併設した市民公開講座等を企画実行しました。今は多くの業種が参加する名古屋ピンクリボンフェスタ実行委員会の活動として10月1日に都心でフェスティバルが開催されています。名古屋市は検診受診率が低い方から数えて何位?という市でしたが、今ではピンクリボンフェスティバルの後援団体になり、ワンコイン検診(1検診を500円で受けられる)の開始で受診率が上昇してきています。私の中でのピンクリボン活動は、女性の健康や生命に脅威をふるう頻度が高い乳がんに対し、個人の立場から健康を守るための活動であり、今後も、医師としての専門性を活かして活動して行きたいと考えています。

(2015年11月)