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ピンクリボンと私

ピンクリボンと私

菊田 千秋

人生には 意味のないことは起こらないと言います。私にとって『乳がん』になったこと、手術、治療…様々なことを経て、いまこうしていること全てが、意味のある、選ばれて与えられた、むしろ大切なことであったと、思えるようになりました。

異変に気付いたのは3年前の今頃(5月)でした。いわゆる特定検診を7月に申し込んでいましたが、その前に自身で発見し直感でそうだと思いました。

医師からの告知と淡々と話す今後の治療計画…その瞬間 目の前が真っ白になり自分が異空間にいるような感覚で、話の内容も理解できるわけもなく、受け止めることが精一杯でした。
第一に頭に浮かんだのは 非常勤講師を務めている専門学校の生徒たちのことでした。カリキュラムをこなせるのか、そもそも学校に通えるのか…不安で一杯だった私を救ってくれたのは、外でもない、その生徒たち、そして周りの仲間からの心遣いと、私を待っていてくれる想いでした。

そうは言っても、術後の抗がん剤治、放射線治療、その副作用に振り回されながら仕事との両立の毎日は想像以上のものがありました。でも 行くところがある、やることがあるという想いを奮い立たせ、務めている専門学校の授業は1回も休むことなく、他の仕事も関係の方々にご理解いただきながら、また自身の体調と向き合いながら進めてきました。

そんな中 出逢った「ピンクリボンアドバイザー」という認定に運命を感じました。まずは自身の病気のことをしっかりと理解しようという気持ちから始め、そのことを発信することに意義を見出してきました。ご縁をいただき「ちょっと気になる乳がんの話し」というタイトルで講話をしたことがきっかけで、これまでに3回のセミナー依頼をいただき皆様に私の経験談を含め早期発見、早期治療を促すことはもちろん、自身のからだに興味を持つことの大切さをお伝えしています。
まさに ピンクのリボンが縁を結び、私をその場に連れて行ってくれているようです。

『乳がん』になって失ったものもたくさんありますが、それ以上に頂いた大きな『愛』を感じています。本当に大切なもの、本当に必要なものが何なのか ピンクリボンが私に教えてくれました。


(2024年5月)