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ピンクリボンと私

鈴木久美(大阪医科大学看護学部、大阪QOLの会世話人)

女性の乳房といのちは自分たちの手で守ろう!
初夏のある日、「私ね。乳がんで手術しなくちゃならないの。しばらく、お休みするけどよろしくね。」と職場の先輩から突然打ち明けられことを25年経った今でも鮮明に覚えています。その方は、手術後1か月で職場復帰し経口抗がん薬の治療を継続していましたが、残念なことにその後再発し、治療の甲斐なく35歳の若さで他界されました。その方の闘病生活を身近で支えながら、女性が乳がんになることの深刻さや他への影響の大きさを思い知りつつも貴重な経験をさせていただき、このことをきっかけに乳がん患者様へのケアについて真剣に考えるようになりました。さらに、外科病棟で勤務する傍ら、乳がん患者会にも足を運ぶようになり、多くの乳がん体験者の方々と出会い、さまざまな学びを得ました。そして、ある乳がん体験者の方の「この病気になる前からもっと乳がんのことを知っていたらと本当に悔やみます」というこの一言が、私をピンクリボン活動へと向かわせてくださいました。その方は、乳がんに関する知識が全くなく、乳房のしこりをみつけても何科を受診したらよいのかさえも知らずに大変困ったと言います。その当時は、現在のように乳がんに関する知識も普及しておらず、乳がんの情報を入手するのも容易ではありませんでした。

そこで、私は2005年から乳がん体験者と協働して、成人女性や子育て中の母親を対象に「乳がん早期発見のためのセルフケア促進プログラム」という乳がん啓発活動に取り組んでいます。この活動は、乳がん体験者との語り合いのなかから生まれ、「女性である以上誰でも乳がんになる可能性があるのに、ひとごとと思っている人が多いし、自分もそうだった。この自分の体験を生かしたい!」という乳がん体験者の熱い言葉に突き動かされたのがきっかけです。この活動を通して強く感じていることは、乳がん体験者のお話は何にも代えがたく、成人女性に乳がん検診に行こうという動機づけや勇気を与えてくださり、大きなパワーをもっているということです。今後も乳がん体験者の方々と一緒にこの活動を継続し、できるだけ多くの女性に自分の乳房に関心をもっていただき、女性の健康に少しでも貢献できるように尽力したいと思います。

(2016年03月)